市議会議員が語る、行政や市議会議員を動かす方法

2020年12月12日に、禁煙化推進オンライン研究会で、西東京市議会議員の田村ひろゆき氏によるレクチャーがありました。

これまでのタバコ対策に関係する活動や、市議会における動き、議員とのかかわり方について、非常にわかりやすく伝えていただきました。

質疑応答は1時間におよび、たくさんの質問がありました。

その中でも特に勉強になるやりとりについて、以下抜粋・要約して記載します。


Q1.何の下準備もなく、自治体にむやみに受動喫煙防止条例の制定を求めて陳情することは、効果的と言えるか?

→下準備はしたほうがよい。陳情は議会の構成をよく確認するべき。議会に出したときに可決されるのか否決されるのかどちらの可能性が高いのか見定めたうえでだしたほうがよい。

可決される見通しが無いのに条例制定を求める陳情を出して議会で否決されたら、議会として必要ないという判断を公式に出したという結果が残り、むしろ逆効果になる可能性がある。

陳情を出すのであれば各会派の議員に協力を求めるロビー活動をしてこれだったら各会派が賛成してくれて可決になりそうだという見通しをもってだしたほうがよい。

自分の想いだけで陳情を出す人がいるが、議員の皆さんが賛成できる内容であればよいが、本気で可決させたいということであれば事前に各議員に働きかけをしてそのうえで陳情を出したほうが良い。

 

Q2.署名を集める活動もあるが、署名の効力はどうか?

→署名の効力は、人によって受け止め方はいろいろである。

市民が20万人だったとして、100人や200人の署名が集まったといわれても、正直「そうですか」というレベル。何千何万と署名を集めるところまでいかないと署名そのものの力があるかというとわからない。

ただ、署名を集めるという行為そのものが人々の関心集めや啓発になることもある。

なお、署名がテーマにしている問題を取り上げるもしくは反対する、ということが、議員にとって「自分自身の当落や立場に影響するぞ」と感じたら影響力があるかもしれない。

 

Q3.ネットの署名など、全国から集まる意見などについてはどういう影響があるか?

→ローカルな話題に対して、全国の人が応援しているというのは響かない。

沖縄の基地問題だったら違うかもしれないが、自治体レベルの問題に全国からきても「ふぅん」という感覚はあるかも。

 

Q4.議員の関心の無い社会問題に対し、どのように協力を求めたらよいか?(タバコ問題に無関心な議員に協力を求めていく方法)

→わかりやすく説明をしてほしい。議員がわかるように問題を伝えてほしい。

その問題で自分がどんな影響を受けているか、改善すると自分や自治体にとってどんないいことがあるのか。

戦争反対という主張など、それが自治体にとってどのようにいいことがあるのか、ということがわからないと動きにくい。

この問題が市民にとってこういう影響がある、この問題を解決することが自治体にとって必要性があるということを伝えるとよい。

 

Q5.議員も人だと思うので、感情的な部分もあると思うが、感情面ではどのようにはたらきかけるのがよいか?

→丁寧に接してほしい。穏やかに怒ってもらう。

感情が爆発してる人もいるが、こっちもどうしていいかわからない。冷静に怒ってほしい。

しばしば「わーーー」とまくしたてる人がいるが、議員としてどうしたらよいのか、困ることがある。

 

Q6.議員の選挙を手伝いに行くのは、その後要望する上で効果的か?

→選挙のときにお世話になった人は、当然その後も悪くはしないし、気軽に話せる関係になる。

選挙の時に手伝いをする、議員に顔を売るというのはいいこと。

当選した後に色々なお願いをするというのは、知ってる人から要望が来るのと知らない人から要望が来るのでは全然違う。

自分のことに関心をもってくれるかもしれない。

一人しか応援しちゃいけないというルールはないので、いろいろな候補に足を運ぶのはいいこと。

 

Q7.喫煙所ではなく、道路(市道など)上に単独で設置された灰皿については、どのように考えればよいか。そのようなモノの撤去を求めたい場合にどのような手段が取れるか。

→道路(市道)であれば、勝手に物を置くことはできないので、道路管理を管轄する部署に対応を求めることになる。

私有地に灰皿を置かれた場合は、そうした対応は難しいので、それがお店とかコンビニであれば行政からのアプローチよりは、運営会社へ意見をいれてみるほうが有効かもしれない。

 

Q8.路上喫煙の問題に対し、自治体へ要望を入れたいが、どのように入れるのが効果的か?

→首長への手紙や要望を出したり、議員に働きかけるのは良いことだと思う。

これらと併せて、できれば同じように考える方を複数に増やすのが良い。

一人の人が繰り返し要望するとなると、「この人が主張しているだけでしょ」という見られ方になる。

市民から声をあげるのは、いろいろな人からちょっと違う視点で出てくるとよい。

同じ人が毎月毎月出し続けるのは良い方法なのか、は微妙なところ。

 

また、田村ひろゆき氏からは、以下のアドバイスがありました。(筆者が意図に沿うように編集しています)

市議会議員は、お叱りを受けることはたくさんあるけれども、お褒めの言葉をいただくことがあまりない。(特にタバコ対策は)

そのため、駅頭での声かけや電話やメールで褒められたり励まされたりするととてもうれしい。

もし市議会議員の活動で、良いと思えることがあったら、電話やメールなどでお褒めや励ましの言葉を送ってほしい。

 

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