※2020/10/11改訂

個人での禁煙化推進には、大きく3つの戦略があります。

  1. 【個人で組織を支援】既存の禁煙化推進の活動をサポートする
  2. 【一匹狼的】対決型の要望で禁煙化推進を行う
  3. 【組織的】協働型の禁煙化推進を行う

1人で上記2の対決型と3の協働型を併用していくことは非常に難しいです。2をやってしまうと、協働ができなくなるためです。

上記2は、点レベルでしか禁煙化推進できませんが、上記3は面で覆いかぶせるように一気に進めることができます。

上記2の人と、上記3の人がいる地域では、相乗効果で一気に禁煙化が進む傾向があります。仲間がいるのであれば役割分担するのも有効です。

筆者はかつて上記2の対決型をしばらく行い多くの場所を禁煙化してきましたが、転居を機に上記3の協働型にシフトしてからは、短期間で成果はすぐには得られなかったものの、ある時点から突然地域全体が禁煙化に向かい、何もしなくてもどんどんあちこちが禁煙化していくようになりました。

成果の比較で言うと、上記2が10ならば、上記3は1000、というほどの違いです。

上記2と3を以下に比較しますので、どれを選ぶかは、置かれている環境や得意分野などから考えてみてください。

特徴 お勧め
2.対決型の要望で禁煙化推進を行う
  • ひとりでもできる
  • 要望・陳情・住民監査請求・裁判などを通じて、個別の受動喫煙環境等を解決する
  • 個々の環境を短期間で改善していくことで、地域全体の禁煙化に貢献できる
  • 長期的な行政の方針を変えたり条例制定を目指したりするなど、地域全体を禁煙化していくことは難しい
  • 近隣との関係や他の地域活動でやや気まずい思いをする可能性がある
  • 転勤などで短期的にその地域に居住している人
  • 地域活動等に殆ど関わっていない人
  • 地域に全く知り合いがいない人
  • 既に過激な要望等で戦っている方
  • 短期的な成果を得たい方
  • 人づきあいが苦手な方
3.協働型の禁煙化推進を行う
  • 遠回りのようで、トータルでは個人での対決型活動よりも短期間・小労力で大きな成果をあげることができる
  • 地域の団体や行政と良好な関係を築き、巻き込んでいくことで、禁煙化を推進する
  • 個々の対策よりも、行政や地域団体の方針を変えていくことで、長期的に地域全体の禁煙化をはかっていく
  • 非常に時間がかかることや、地域のしがらみなどいろいろな理不尽に我慢する必要性がある
  • ひとりではできない
  • 非常に面倒くさいが、精神衛生上は良い
  • 人づきあいが得意な方
  • 長期間その地域に住んでいて知り合いが多い方
  • 子どもが様々な地域活動に関わっている方
  • 医師など地域の名士
  • これまで過激な要望等で戦っていない方
  • 条例を作りたい方
  • 北風よりも太陽派
  • 現時点で早期解決を必要とする差し迫った受動喫煙被害が無い方

 

以下、それぞれの戦略について示していきます。

1.既存の禁煙化推進の活動をサポートする

禁煙化推進の活動をしている人は、実績をあげられる優秀な人ほど他でも必要とされ多忙であるがゆえに、他の方々のサポートまで手が回らない事が多く自分一人で完結する活動になりがちです。

そのため、チームで活動することが苦手で個人戦になりがちで、個別撃破されてしまうケースも多いです。

こうした状況から、前面に出て旗を振って活動するのではなく、他の活動をサポートしてくれる人が決定的に足りず、求められています。

サポートの活動には、以下のような形態があります。

既存の地域の禁煙化推進団体に加入し、そのリアルな活動をサポートする

すでにお住まいの地域に禁煙化推進団体がある場合には、入会して、実際の活動をサポートすることはとても喜ばれます。

禁煙化推進団体は、事務方を担ってくれる人やイベント時の準備作業が代表や事務局に一極集中しがちであり、殆どの会員はお膳立てされた活動にしか参加しないという問題があります。

そのため、以下のような事務局業務や、イベントの積極的な参加は、非常に喜ばれます。会社員ほど、こうした作業は得意なので大いなる貢献ができます。

  1. 会計業務
  2. 対外的な要望書や、対内的な報告書作成業務
  3. ホームページや公式SNSの運営
  4. メーリングリストの運営
  5. イベントに向けた資材調達
  6. イベント実施に向けた会議などへの出席
  7. 懇親会等の幹事

地元に禁煙化推進団体があれば、入会し、上記の作業を積極的に引き受けてください。

入会しても「仕事があるから」「忙しい」などという理由で逃げるような個人は「いいとこどり」だけしようとするので団体からしてみると不要です。

劉邦が楚を打ち破って漢を建国した際に、最大の功労者をバックオフィスの蕭何としましたが、まさに禁煙化推進で求められるのは蕭何のような存在なのです。

禁煙化推進のための専門知識がなくて自信の無い方は、まずこうした後方支援の活動に熱心に取り組んでみてください。最大の功労者となることができます。

 

インターネットやSNS等で行われている活動(要望書発信等)をサポートする

SNSでは受動喫煙に関する愚痴投稿が多いですが、中にはその問題を解決するために「●●へ要望した」といった投稿があります。

こうした投稿があったら、援護射撃として、同じように要望する活動です。

複数人で要望すると、禁煙化推進が実現する可能性が高まりますので、そのような形で援護をすることは非常に有効です。

複数人での要望の有効性については、「受動喫煙対策要望術-基本編」でも述べています。

 

寄付

禁煙化推進の活動を行うにはお金がかかります。

主にお金がかかる要素としてはいかのものです。

  • 学術総会への参加など情報収集のための旅費・参加費
  • 啓発資材の作成・購入
  • 講師の招聘費用

こうした活動を行おうとしても、多くの団体や個人ではお金が無いため制約が生じています。

もし、自ら禁煙化推進の活動を行うことも、サポートすることも自信が無ければ、ご自身が信頼している活動に寄付してください。きっと有効に活用されるはずです。

なお、一部の禁煙関連学会や団体は、営利目的とした活動を行っていたり一部の役員が私服を肥やしていたりするため、寄付する場合には寄付をする対象について、よく吟味しましょう。この団体に寄付してよいか?と不安になったら筆者までご連絡ください。

 

「禁煙化推進の手引」のサポート

このサイトの作成・維持・情報収集にもお金がかかっております。寄付や援護射撃のサポートをいただけると、このサイトをより充実させ、より多くの方へ読んでいただけるため、ご協力をお願いします。

詳しくは、サポーター募集をご参照ください。

2.対決型の要望で禁煙化推進を行う

詳細は、「禁煙化要望術」を参照ください。

1度で改善することはまずないため、しつこく、何度でも、あきらめずに様々な観点で苦情・要望を出し続けることが必要です。

ただし、自分の家族が関わっている団体周辺では行わないほうが良いです。

改善対象・要望ネタをみつける

街を歩けば、様々な場所で受動喫煙に遭いますが、以下のようなところから改善要望のネタを探していくのも良いと思います。

  1. パブリックコメント
    1. 自治体のパブリックコメント
    2. 国のパブリックコメント
  2. 市報
    • 子どもが参加するイベントであるにもかかわらず禁煙でない場合や、喫煙可の店で行われるイベントなどツッコミどころ満載の企画が掲載されていることがあります
  3. 不特定多数、特に子どもも訪れる観光地・施設など
  4. お祭り、イベント等(喫煙所、タバコ産業の協賛等)
  5. TripAdvisorやGoogleマップなどの口コミサイトに登録。

情報公開請求を行い、意思決定の過程やタバコ産業との癒着を公開する

情報公開請求を行い、不適切なタバコ対策に関する意思決定や、タバコ産業との癒着に関する行政機関の内部文書を公開させ、それをインターネットで公表することで、問題を公にしたり、行政機関に対する不適切な意思決定の抑止をはかります。

具体的な方法・考え方はこちらにもまとめられていますが、対象となる行政機関のホームページに必ず情報公開請求の手順が掲載されています。

意外と簡単ですので、自分自身で一度やってみるのが一番です。

たとえば、東京都下の場合は、東京共同電子申請・届出サービスでの電子申請が便利です。

あまりやりすぎると、行政サイドからマークされ嫌われるため、次に述べる協働型の活動をする場合はほどほどにしておいたほうがよいです。

また、発信力が無い人が情報公開請求で得た不適切なタバコ産業との癒着を公開しても、誰もみてくれないので、発信力も併せて培っていく必要があります。(なぜ不適切なタバコ対策なのか、なぜタバコ産業との関わりがいけないのか、も論理的にわかりやすく説明しないと、一般の人にはただの過激な嫌煙者にみえてしまうので注意)

まず、手始めにご自身のすまいの「タバコ税増収対策協議会」などの行政が密接にかかわったタバコ利権組織に関する総会資料や議事録などを情報公開請求してもよいかもしれません。

3.協働型の禁煙化推進を行う

協働型の禁煙化推進を行うには、まず地域で仲間をつくり、勉強会を通じて啓発し、拡げていくことが第1ステップとなります。

その手法については、以下にまとめていますので参照してください。

これらを個人で遂行していくに必要不可欠なスキルとして「勉強会の講師ができるようになること」があります。

勉強会の開催は、地域で協働していくにあたり必要不可欠なアクションであり、繰り返し行わなければなりませんが、その都度外部講師を呼んでいたら、いくらお金があっても足りません。

自身が講師を担うことができれば、講師料や講師の都合に左右されずに柔軟に勉強会を開催できるため、一気に活動の幅が広がります。

自身で講師を担えるようにする方法については、「講演の実施(一般向け、子ども向け防煙教育等)」を参照ください。

地域での仲間が増え、医師会とのつながりが持てたら、「医師会を巻き込んだ戦略◎」を参照してください。

ゆるーく禁煙化推進活動に取り組みたい場合

日常生活の「ついで」レベルでできる活動があります。

禁煙飲食店の応援、利用勧奨です。

誰でも、精神的負担もなく、敵も作らず、僅かな時間でもできます。

詳細は「禁煙飲食店の利用勧奨」をお読みください。