パブリックコメント(英: Public Comment)とは、公的な機関が規則あるいは命令などの類のものを制定しようとするときに、広く公に(=パブリック)、意見・情報・改善案など(=コメント)を求める手続きをいう」とWikipediaで説明されています。

国のパブリックコメントはe-Govから、自治体のパブリックコメントはそれぞれの自治体のホームページに意見募集中のパブリックコメントにアクセスすることができます。

パブリックコメントに付される段階で施策案は9割がた固まっていますが、稀に意見募集の結果として政策に影響を与えたり、表現の修正などが行われたりすることがあります。

受動喫煙防止に関わるものと、受動喫煙防止とは直接無関係なもので、戦術が変わってきますのでそれぞれ別に述べます。

受動喫煙防止とは直接無関係なパブリックコメントについて

一見、受動喫煙防止とは無関係なパブリックコメントであっても、意見を提出することによって、担当部署への啓発や、今後の施策検討の際に考慮されるようになります。

たとえば、以下のようなものです。

  • 子育て系 ⇒子どもの受動喫煙防止、妊産婦の禁煙支援
  • 教育系 ⇒学校等における受動喫煙防止、未成年者喫煙防止教育の実施
  • 介護 ⇒要介護状態にならないようにするための禁煙支援、受動喫煙防止
  • 火災防止 ⇒禁煙
  • 防災 ⇒公共施設における火気=喫煙の禁止の徹底、避難所の敷地内禁煙化、避難所への支援物資としてのタバコを受け取り拒否
  • 環境美化 ⇒屋外での受動喫煙防止(ポイ捨てに焦点を当てると喫煙所の設置につながるため注意)
  • 観光、オリパラ⇒ 諸外国並みの喫煙規制

受動喫煙防止のガイドラインや受動喫煙防止条例制定にあたってのパブリックコメントについて

タバコ産業・販売側と、禁煙推進側の代理戦争の場になり、大量の意見(数百件~1000件以上)が提出されます。

このような傾向において、意見を提出するにあたっては、いくつか工夫する必要があります。

1.提出要件を必ず満たす

記入にあたって必要になる事項(氏名、住所等)を必ず記載します。

特に、その自治体の在勤在住でない場合、要件として「その施策の直接の利害関係を有する者」が求められていることがあります。この場合は、「その施策の直接の利害関係を有する理由」を必ず明記しましょう。

これらが満たされないと、そもそも意見として受け付けられず読まれも考慮もされずそのままゴミ箱行きになります。

2.総論として賛成なのか反対なのかを意見の冒頭に示す

担当者の立場に立って考えてみてください。

数百件の意見が提出されたら、賛成が何件で、反対が何件だったのか内部的に集計して上司に報告することになります。また、その数が独り歩きして反対派に利用される懸念があります。

そのため、その集計がしやすいようにまず総論として賛成なのか反対なのか、冒頭に示しましょう。

だらだらと感じたことを文章で延々と書いていたり、指摘事項だけ書いてあったりすると集計がしづらくなります。

あまりに禁煙化のレベルが不足しているために「反対」する場合には、「対策が不足しているために反対」というように冒頭に記載しましょう。そうでないと、単純に禁煙化に反対しているタバコ事業者等と一緒くたにまとめられてしまいます。

また、そもそも賛成なのか反対なのか、より禁煙化を強化する立場なのか反対する立場なのかを明確にしておかないと意見の趣旨を誤解される可能性があります。

3.各論の指摘事項は、指摘の対象箇所、改善すべきことを明確に記載する

パブリックコメントの担当者は大量の提出意見に目を通さないといけないため、何が言いたいのかわからない意見は黙殺される可能性があります。

特に対象箇所を示さずに「もっと受動喫煙防止策を強化すべきだ」などと抽象的な内容では多様性に乏しいためあっさりスルーされてしまいます。

また、行政は、定められる「文書」に基づいて動くため、「文書」がすべてです。意見する場合には「文書」をどう修正するべきなのかを示す必要があります。

指摘する場合には、具体的な個所を示して引用しつつ、その文言を具体的にどう変えるべきなのか、その理由を明確にして具体的に記載しましょう。対案を示すことが大事です。

4.他の人の意見のコピーペーストは意味がない

パブリックコメントの趣旨目的は、多様な意見を広く求めることにあります。

禁煙化推進に携わる方々は、「このひな形で送ってください」としばしば多方面に呼びかけることがありますが、同一の意見の数が重要なのではなく、どれだけ様々な視点で禁煙化の実効性が高まる意見を送れるか、が重要です。

したがって、他の方が提出した意見以外の視点で意見することが重要です。同じ意見はわざわざ書かなくてよいでしょう。僅かでも違うところがあれば、その点を強調して記載しましょう。

 

パブリックコメント段階で何を要望するのが効果的かは、パブリックコメントに至った受動喫煙防止条例案に、何を要望するか?◎(制限付き)をご参照ください。

パブリックコメントの意見募集を仲間等に促すメールの仕組みの作り方は仲間が簡単にパブコメ意見提出できる仕組みを作る方法◎(制限付き)をご参照ください。