禁煙化推進していく上で、やってしまいがちなNG行為について、以下のとおり述べていきます。

喫煙者を直接注意する

喫煙者はニコチン依存症という病気です。

ただの「モラルの無い人」とは異なり、病気により喫煙行動に及んでいます。

街中にいる喫煙者を注意すると、依存症という病気もあいまって、発狂させて暴力を受ける可能性が高いです。

バス停など逃げられない場所でタバコを止めてもらう目的であれば、その目的を念頭に入れて丁重にお願いをしてやめてもらうのが得策です。

禁煙化推進活動として喫煙者を注意することはリスクが大きいだけで得るものは小さいです。

喫煙者に注意する労力があるならば、その場を禁煙にするよう管理者へ働きかけるほうが効果的です。

身近すぎる人に禁煙を説得

以下の近すぎる関係の喫煙者に対し、禁煙を説得すると却って反発されてしまい関係に深刻なヒビが入る可能性が高いです。

  • 家族
  • 近所
  • 職場の同僚、部下

説得ではなく、動機づけをしていくほうが効果的です。

動機づけ面接法というカウンセリング技法があり、禁煙を指導するのではなく禁煙しようという気持ちを想起させて一緒に禁煙していく方向に向かうスタイルです。

詳細は以下の書籍を確認してください。

行政担当者への菓子折りなどの贈り物

送る相手が議員や行政の職員の場合、贈収賄と疑われることから、逆に迷惑をかけてしまいます。

食事したときにおごるのも避けるべきです。

李下に冠を正さず、です。

実際に行政に手土産を渡して後日送り返された団体があるそうです。

脅迫まがいの要望

大企業の問い合わせ窓口の電話番号は、多くの場合コールセンターで電話対応をしており、電話でのやりとりは全て記録されています。

もし感情的になってしまい脅迫まがいの発言をしてしまうと、お縄になってしまいます。

メールもシステム管理者によってすべて記録されています。

そもそも脅迫まがいの要望は全く効果的ではなく人として問題があるため、決してやってはいけません。

受動喫煙対策要望術-基本編」で記載のとおりです。

行政とのメールのやりとりの際に、公開されたら困る内容を記載

上述の内容と似ていますが、メールの送信先と友好的な関係がある場合であっても、他部署や議員に関する批判や悪口は記載すべきではありません。

行政は定期的なローテーション人事によりどこでどんなつながりがあるかわかりません。

また、メールはすべて記録として管理されています。

情報公開請求により公開されてしまう可能性すらあります。

きわどい内容はメールではなく、行政の担当者と電話するのが確実です。

署名活動

禁煙化推進に関しては、地方自治法に定められた直接請求に関する署名以外は「参考にします」で終わることが多いです。

禁煙化推進側の署名活動を呼び水として、タバコ利権側も反対の署名活動を行うため、圧倒的大差で勝たなければ意味がありません。

多大なる労力の割には、得るものは圧倒的に少なく、そればかりか逆効果にさえなります。

この実態を知らない禁煙化推進団体の幹部は、すぐに署名活動をやりがたりますので、幹部がそのようなことを言い出したら全力で反対する必要があります。

そんな暇とお金があるのであれば、地域の有力者ときちんと対話して協力依頼・勉強会開催依頼をするほうがずっと生産的です。

いきなり議会への陳情・請願

事前の調整なき請願・陳情は、健康推進部署など味方してくれるはずの方々にも多大な迷惑をかけます。

こうした根回しなしでは、自民党が与党会派にある限りは、まず採択されません。

不採択になると、判例となり以後の意思決定や施策にも悪影響が生じます。

詳細は「請願・陳情」で述べていますので参照してください。

付き合いのない議員へのアプローチ

地域にもともと馴染みの議員がいて信頼関係がある場合はよいですが、

これまでまったく議員と接点がなく、新たに禁煙化推進のために個人として議員と接点を持つのは、全く相手にされないので、やめたほうがよいです(建前として協力する姿勢は示すが何もしてくれない)。

禁煙化推進活動初期の場合は、「まず最初に何をすべきか」で述べた内容に従って繋がりを作っていくことが重要であり、初期に議員に接触することは得策ではありません。

議員対策については、「議員対策」を参照してください。

SNSでのタバコ対策遅れの批判、ニュース記事のシェア

逆効果にはなりませんが、お勧めできません。

SNSで禁煙化の遅れを批判したり、ニュース記事をシェアしたりすることを「啓発だ」と考える人もいますが、筆者は自己満足でしかないと考えています。

タバコ問題以外の領域で強い影響力を持つオピニオンリーダーでもない限り、イチ一般市民がタバコ問題を投稿したところで、ほとんど読まれていないか、「いつもの嫌煙家の愚痴」としか思われておらず、いわば狭い狭い身内同士で「いいね」をしあって慰めあっているにすぎない状態です。

仮に問題意識を共有したところで、そこから行動に移さなければ、近所のおばちゃん同士が井戸端会議で政治について愚痴ってるのとかわらず、何も生まれませんし何も変わりません。

企業の実名などを出して批判し10リツイートほど得られたところで、すぐにタイムラインは流れていくため企業は意に介すこともなく、何の効果もありません。(感覚論ではなく、苦情対応・風評リスク管理の業務経験を踏まえた実感です)

5分の時間をSNSへの愚痴投稿に使うくらいなら、その5分を国・自治体・施設管理者へ一言要望する行動に使いましょう。

SNSでシェアすることに意義がある内容は、「●●したら、●●が禁煙になった」など、具体的な行動とその結果です。

SNSは、「啓発」ではなく、ノウハウの共有と、仲間づくりに絞って利用すると効果的です。

※SNSでの仲間づくりについては、「仲間づくり(禁煙化推進活動の仲間)」を参照ください。