『ビジネスパーソンのための法律を変える教科書』が必読な件
禁煙化推進に取り組んでいる方のほとんどが、健康増進法の受動喫煙対策のさらなる強化や、地域での受動喫煙防止条例制定が悲願であると思います。
そこまで望んで行動している人でなくとも、一定の区域や施設を禁煙にしてもらうなど、「ルールの整備」をお願いすることがあると思います。
こうした活動の教科書となる素晴らしい本を読みました。
著者はヤフーにおいて様々な法律の制定・改正に取り組んでこられた方で、その豊富な経験が著書にまとめられています。
以下のような内容で構成されています。
- 【第1章】法律改正のプロセスに関する著者の経験に基づく概観
- 【第2章】ルール形成に取り組むための基本的な考え方と主要な役割を果たすプレーヤーの説明
以下、第3章から第11章は、具体的なアプローチについてです。
- 【第3章】省庁が設置した委員会での議論と「報告書」から始まる標準的なルール作りのプロセス
- 【第4章】長期間にわたるルールづくり・変更における、時機に応じて果たす役割
- 【第5章】反対者がいないようなルールづくりであっても、賛同の声を集める必要性
- 【第6章】法律そのものではなく法律の解釈を変えた例
- 【第7章】法律というルールではなく、民間の自主基準を制改定したという例
- 【第8章】現行のルールを適切に解釈し使えば、ルールの変更は必要ないという話
- 【第9章】大きな反対を乗り越えた例
- 【第10章】ルール変更に果たす民間団体(NPO等)の役割や運営・参画について
- 【第11章】国内ルールだけでなく国際ルール作りについて
いずれも、禁煙化推進に携わる方が知っておくべき知見がふんだんに盛り込まれています。
個々の法律の具体例は難しいかもしれませんが、その内容よりも、著者がどのような工夫をしたのか、という観点で読み進めるととても参考になります。
現在、たくさんある禁煙関連の学会や地域団体はロビー活動が非常に苦手なようにみえます。
キーパーソンや、次世代のリーダーがこの本を読んで、適切かつ着実なロビー活動ができるようになることを願ってやみません。