厚生労働省の元担当官にインタビューした岩永直子さんの記事は必読です(7/26追記))
- 行政を攻めても責めてもダメ
- 行政(特に健康を所管する部署)は、禁煙化推進に携わる人たちよりも、ずっとタバコの問題を理解していて、なんとかしたいと思っている人も多い。
- 決めるのは議員。しっかり議員に丁寧に説明したり、議員が聞く耳をもってくれる人・団体から要請する。
- 「専門家の意見や議員の失言 影響なかった」
- 禁煙団体(特に日本禁煙学会)が行いがちな、メディアに主張を載せてもらい、不十分な法令案を提示する行政や反対する議員を攻撃する手法は通用しない。
- 世論は、政策の意思決定には必ずしもつながらない。
- 規制強化に反対する理由
- 禁煙化推進側の主張は「健康」「受動喫煙被害の防止」だったが、反対する側の理由は「飲食店の経営への懸念」「屋外を先に規制しているから屋内を禁煙にするとどこでも吸えなくなる」などの意見。そもそも論点がずれている。推進していく側は、反対する側の理由に沿って、それが問題ないことを立証していく必要があるし、行政が反対する人たちに説明するのを助けられるようなサポートをする必要がある。
【2019/7/26追記】
続編も必読です。
一歩引いても後退はさせない 受動喫煙対策、ちゃんと前に進んでいくように仕掛けた仕組み
業界の反発をかわすための「例外は既存店のみ」、反対しがたい「未成年者の立ち入り禁止」で、時間の経過とともに禁煙化が進むようにしたアイディアは絶妙だと思います。
飲食店の5年生存率が5割、10年生存率が1割ということも、様々なところで言われています。
2014年12月7日放映「所さんの目がテン」より
新規開店した店の9割が10年以内に閉店しています
単に「全面禁煙であるべき」と、受動喫煙の健康被害の観点でのみ主張し圧力だけかけてきた結果、法案はどんどんは後退していくことになりましたが、禁煙化推進側から「財務省の族議員だからタバコ利権派だ」と誹謗されていた加藤元大臣の発案で、この実効性が期待されるアイディアが盛り込まれたことは皮肉です。まさに北風と太陽のエピソードのようです。
とはいえ、加熱式タバコなど不十分な点もあります。しかし、それすらも「法規制できるレベルで加熱式タバコの有害性を立証できなかった」という禁煙化推進側の反省点でもあると思います。過激に主張している禁煙団体ではなく、国立保健医療科学院など国の機関が加熱式タバコの有害性を立証しようと頑張っておられるのもまた皮肉な話です。
「all or nothing」か、「中途半端でも禁煙化が進むことを期待して部分的に進めるか」、で後者をとったわけですが、禁煙化推進側はそこに対する批判をするよりも、次は2025年の健康増進法(と東京都受動喫煙防止条例)の見直しに向けて、今回の健康増進法改正時の攻防について「禁煙化推進側はどう行動すればよかったのか」の反省・分析をしっかりおこなったうえで、戦略を練っていくべきかと思います。
禁煙化推進を志す人たちの力が試されています。禁煙化推進を志す人たちの活躍の場が与えられているといってもいいかもしれません。