北海道議会の禁煙化を求める住民監査請求について

北海道新聞において、「禁煙求め住民監査請求 10日、道議会新庁舎巡り」という記事が掲載されていました。

来年1月完成予定の新しい道議会庁舎(札幌市中央区)への喫煙所設置を巡る問題で、日本禁煙学会北海道支部の松崎道幸支部長=旭川市=が庁舎の完全禁煙を実施するよう鈴木直道知事に求める住民監査請求を行うことが分かった。請求は10日に行う予定。請求書面で「喫煙所の設置は道民の健康増進を損ない、道財政に損失をもたらす」と厳しく非難している。

学術団体や地域の禁煙化推進団体は、行政と敵対するよりも協働し信頼関係を確立したうえでしっかり内部から禁煙化を進めてほしいですし、議会の問題であるならば議員と対話を重ねていくことも必要ですが、それらが十分になされてきておらず、住民監査請求という手段や、「厳しく非難」という形で敵対し行政からの信頼を益々損なっていることが残念です。

また、議会は改正健康増進法上は第二種施設として位置づけられているため、ただちに違法にはならず、住民監査請求においては「不当」といえるかどうかが争点になると思いますが、かなり難しいのではないかと思います。

もしこれで「喫煙所の設置は不当とはいえない」という判断が下った場合、逆に議会における喫煙所設置にお墨付きを与えることになり、むしろ全国の議会に喫煙所の設置を促す結果になりかねません。また、タバコ産業から喫煙所の建設費の費用負担を申し出られることは容易に想定でき、そうなると「公金支出」を争点とする住民監査請求の根拠がなくなってしまいます。

このような問題は、公に仰裁して白黒はっきりさせるよりも、公にはグレーなままで、キーパーソンに働きかけて内部から変えていき、その実績を展開していくほうが確実だと思います。

学術団体ならば、議会まで禁煙化した自治体にアンケートをとるなどして、どのような理由で議会棟まで禁煙化したのか、議員の抵抗などをどう乗り越えたのかなどのポイントを調べて分析して、今後の方針に悩んでる自治体に禁煙化を動機づけできるように調査結果を公表してほしいですね。